【2026年版】賞与(ボーナス)の社会保険料・源泉所得税の計算方法を社労士がわかりやすく解説
はじめに
「賞与の金額は決定した。でも、そこからいくら引いて振り込めばいいんだっけ?」
夏のこの時期、経営者の方や給与を担当している方から、こういう相談が増えます。毎月の給与と違い賞与は年に数回。だからこそ計算のルールをうろ覚えになりがちで、正直に言うと、わたしも最初はややこしいと感じていました。
賞与から差し引くお金は、大きく分けて「社会保険料」と「源泉所得税」の2つです。この2つさえ押さえれば、賞与の手取りはきちんと計算できます。
この記事では、2026年時点のルールに沿って計算のしかたを順番に解説していきます。
賞与から引くのは大きく2つ「社会保険料」と「源泉所得税」

まず全体像です。賞与(総支給額)から会社が差し引くのは、以下の2種類です。
- 社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金・雇用保険)
- 源泉所得税
住民税は毎月の給与からまとめて引く仕組みなので、賞与からは引きません。ここは間違えやすいポイントなので、覚えておくと安心です。
順番としては、先に社会保険料を計算して、そのあとに源泉所得税を計算します。理由はあとで出てきますが、対象になる金額がそれぞれ違うからです。所得税の計算に社会保険料の金額を使います。
1.社会保険料の計算

賞与の社会保険料は、次の考え方で計算します。
標準賞与額×各保険料率÷2(労使折半)
順に見ていきます。
標準賞与額とは、賞与の総支給額から1,000円未満の端数を切り捨てた金額です。たとえば、賞与が60万3,500円なら、標準賞与額は60万3,000円になります。
これに、それぞれの保険料率をかけます。2026年時点のおおまかな料率は以下のとおりです。
- 厚生年金保険料率:18.3%(会社と本人で折半なので、本人負担は9.15%)
- 健康保険料率:おおよそ10%前後(加入している健康保険や都道府県によって異なります。折半で本人はその半分)
- 介護保険料率(40~64歳の人):協会けんぽで全国一律1.62%(折半で本人は0.81%)
社会保険料は会社と従業員が半分ずつ負担するので、本人から引くのはこの「半分」です。会社も同じ額を負担しているという点は、コストとして意識しておきたいところです。
雇用保険料も忘れずに引きます。雇用保険は標準賞与額ではなく、賞与の総支給額に本人負担額をかけて計算します(率は年度や業種によって変わります)。
上限額に注意
標準賞与額には以下のとおり上限があります。
- 厚生年金:1回の賞与につき150万円まで
- 健康保険:年度(4月~翌年3月)の累計で573万円まで
この上限額を超える部分には保険料がかかりません。高額の賞与を支給する場合は、この上限を意識しておくと計算を間違わずにすみます。
2026年から加わった「子ども・子育て支援金」
2026年4月から、子ども・子育て支援金という新しい負担が始まりました。これは健康保険料と合わせて徴収される仕組みで、実務上は社会保険料と同じように扱います。給与計算ソフトを使っている場合は、設定済であれば自動で反映されますが、手計算している場合は漏れに注意してください。
2.源泉所得税の計算

賞与の所得税は、毎月の給与とは少し違う計算をします。カギになるのは「前月の給与」です。
計算は次の3ステップです。
- 賞与を支給する月の前月の給与から社会保険料を引いた金額を出します。
- その金額と扶養親族などの人数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率を求めます。
- (賞与の総支給額ー賞与にかかる社会保険料)×税率=源泉所得税(1円未満の端数切捨て)
先に社会保険料を計算したのは3つめの式で使うからです。
なお、扶養控除等申告書を提出している人には「甲欄」、提出していない人には「乙欄」を使います。パートの掛け持ちなどで乙欄になる人もいるので、確認しておきましょう。
前月に給与がなかった場合
前月がまるまる休職などで給与がなかった場合は、少し特別な計算になります。賞与から社会保険料を引いた額を6で割り、その金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめて税額を出し、それを6倍します。イレギュラーなケースですが、頭の片隅に置いておくといざという時に慌てません。
計算例
言葉だけだとイメージしづらいので、簡単な例で見てみます(料率は説明用の目安です)。
- 前月の給与:30万円
- 今回の賞与(総支給額):60万円
- 扶養親族:1人
まず、社会保険料を見ます。標準賞与額は60万円。本人負担分をおおよそで計算すると、厚生年金が60万円×9.15%=5万4,900円、健康保険が60万円×約5%=約3万円、合わせて8万円台後半になります(介護保険や雇用保険が加わる場合はもう少し増えます)。
次に、源泉所得税です。前月給与30万円から社会保険料を引いた金額と、扶養1人を算出率の表に当てはめて税率を求め、「(賞与60万円ー社会保険料)×税率」で計算します。
このように、賞与の手取りは「総支給額ー社会保険料ー源泉所得税」で決まります。正確な金額は、加入している健康保険の料率や最新の算出率の表で計算する必要があります。
賞与でよくあるミス・注意点
最後に、実務でつまずきやすいところを挙げておきます。
1つ目は、賞与支払届の提出です。賞与を支給したら、日本年金機構へ「被保険者賞与支払届」を支給日から5日以内に提出する必要があります。これを忘れると、将来の年金額にも関わってくるので注意が必要です。
2つ目は、退職者や資格喪失月の賞与です。月の途中で退職する人に賞与を支払う場合など、社会保険料を引くかどうかの判断が変わることがあります。ここは間違えやすいところなので注意しましょう。
3つ目は、上限額の見落としです。先ほどの150万円・573万円の上限を超えているのに、そのまま保険料を掛けてしまうミスがあります。
4つ目は、源泉所得税の率の間違いです。前月給与が賞与の額に対して極端に少ない(または多い)場合など、通常と異なる計算になるケースがあります。
どれも知っていれば防げるものばかりです。ただ、賞与は金額が大きい分、ひとつの計算ミスが従業員との信頼に関わることもありますので慎重に行いたいところです。
まとめ:計算に不安があれば、早めのご相談を
賞与から引くのは「社会保険料」と「源泉所得税」の2つ。社会保険料は標準賞与額に料率を掛けて折半し、源泉所得税は前月の給与をもとに率を求めて計算する。この流れさえつかめば、賞与の計算は決して難しくありません。
とはいえ、料率や上限、算出率の表は毎年のように見直されますし、2026年からは子ども・子育て支援金のような新しい項目も加わりました。「この計算で合っているか不安」「賞与支払届の手続きまで手が回らない」という場合は、無理をせず専門家に任せるのも1つの方法です。
当事務所では、給与・賞与計算や社会保険手続きに関する初回無料の相談を受け付けています。計算の代行から、賞与支払届などの手続き、毎月の給与計算のアウトソースまで、御社の状況に合わせてサポートします。下記のお問い合わせボタン、またはお電話からお気軽にお声がけください。
