092-846-8168
平日9:00~18:00(土日祝休み)
オフィスの机の上に書類と電卓パソコンなど

【2026年最新】キャリアアップ助成金とは?中小企業がもらえる金額と申請の流れを社労士がわかりやすく解説

はじめに

「人手は足りないし、賃上げもしたい。でも、そんな余裕はうちにはないんだよね」

中小企業の経営者の方から、こういう声をよく聞きます。本当によくわかります。

ただ、もしその「正社員化」や「賃上げ」に対して、国からまとまったお金がもらえるとしたら、どうでしょうか。それを実現するのがキャリアアップ助成金です。返済の必要がないお金なのに「名前は聞いたことがあるけど、よくわからないから使っていない」という会社が、実はとても多いのです。

この記事では、キャリアアップ助成金とはどんな制度なのか、2026年時点でいくらもらえるのか、そして申請の流れと、つまずきやすいポイントまで、できるだけ専門用語を避けて解説します。

キャリアアップ助成金とは?ざっくり言うと「非正規の待遇を良くした会社へのごほうび」

キャリアアップ助成金は、パート・アルバイト・契約社員といった非正規で働く人の待遇を良くした会社に対して、国がお金を支給する制度です。厚生労働省が運営していて、雇用保険に加入している事業所であれば、中小企業でも対象になります。

たとえば、長く働いてくれるパートさんを正社員にしたり、非正規の人の基本給を上げたり、新しく賞与(ボーナス)や退職金の制度を作ったりすると、そういった「働く人にとって嬉しい取り組み」をした会社に、その後押しとして助成金が出る仕組みです。

補助金と違って返金は不要です。しかも、使い道が自由なお金です。人手不足と賃上げの両方に向き合わないといけない今の時代に、使わないのはもったいない制度だと思います。

大きく2つ「正社員化支援」と「処遇改善支援」がある

キャリアアップ助成金にはいくつかのコースがありますが、大きく分けると以下の2つです。

ひとつは、非正規の人を正社員に転換する**「正社員化支援」。もうひとつは、非正規のまま給与や手当などの待遇を良くする「処遇改善支援」**です。

自社がやりたいこと(正社員に登用したいのか、待遇を上げたいのか)に合わせてコースを選ぶイメージです。それぞれ代表的なものを見ていきます。

一番人気は「正社員化コース」ーー中小企業で最大80万円

もっとも利用が多く、金額も大きいのが正社員化コースです。有期雇用(契約社員やパートなど期間の定めのある人)を正社員に転換すると、助成金が支給されます。

項目内容(中小企業の場合)
基本の支給額1人あたり40万円(転換後6か月で第1期申請)
最大額1人あたり80万円(さらに6か月後の第2期分まで)
80万円もらえる条件「重点支援対象者」を正社員化した場合
主な要件転換後の基本給などが転換前より3%以上アップ/就業規則に正規雇用転換制度を規定すること

ここでひとつ注意点があります。最大額の80万円を受け取れるのは、**「重点支援対象者」**を正社員にした場合に限られます。重点支援対象者とは、たとえば3年以上続けて働いてくれている有期雇用の人やひとり親家庭の方などが当てはまります。それ以外の通常のパート・契約社員を正社員化した場合は、40万円が支給されます。

さらに、2026年度(令和8年度)からは、**「情報公表加算」**が新しく加わりました。一定の情報をインターネット上で公表することで、1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が上乗せされます(令和8年4月8日以降の転換が対象です)。

待遇を上げる「処遇改善支援」のコース

正社員化以外にも、非正規のまま待遇を改善する取り組みを支えるコースがあります。代表的なものを紹介します。

賃金規定等改定コースは、非正規で働く人の基本給を、賃金規定の見直しによって3%以上引き上げた場合に支給されます。賃上げを考えている会社にとっては心強い制度です。

賞与・退職金制度導入コースは、非正規の人向けに賞与や退職金の制度を新しく作った場合が対象です。両方を同時に導入すると上乗せがあり、中小企業で最大56.8万円ほどの支給が見込めます。

短時間労働者労働時間延長支援コースは、2025年7月に新しくできたコースです。これは以下の記事で取り上げた「年収の壁」への対策という性格が強く、週の所定労働時間を伸ばして新たに社会保険に加入させた場合などに支給されます。小規模な企業では最大75万円(1年目50万円+2年目25万円)が見込めます。

なお、これまで「年収の壁」対策として知られていた社会保険適用時処遇改善コースは、経過措置が2026年3月末で終了し、その役割は短時間労働者労働時間延長支援コースへ引き継がれています。このあたりは毎年のように見直しが入る部分なので、最新の内容を確認することが大切です。

(以下の「106万円の壁の撤廃」の記事とあわせて読んでいただくと社会保険の負担増と助成金の関係がより分かりやすいと思います。)

もらうための3つのステップーー「計画書を先に届出」が一番大事

助成金というと「やったことに対して、あとから申請するもの」というイメージがあるかもしれません。ところが、キャリアアップ助成金は取り組みを始める前にやっておくことがあります。ここを知らずに先に正社員化を進めてしまい「助成金がもらえなかった」という残念なケースが本当に多いのです。

流れは、大きく分けて3つのステップがあります。

1つ目は、キャリアアップ計画書の作成・届出です。「いつ・誰を・どうするか」をまとめた計画書を、取り組みを始める前日までに労働局へ提出します。令和7年度からは、事前の設定が不要になり、「届け出るだけ」に簡素化されました。とはいえ、提出が先という順番は変わりません。

2つ目は、就業規則の整備と取り組みの実施です。正社員化コースの場合はルールを就業規則にきちんと書き込んだ上で、実際に転換や賃上げを行い、その後6か月分の賃金を支払います。

3つ目が、支給申請です。取り組み後6か月分の賃金を、支払った日の翌日から2か月以内に書類を提出します。申請から実際にお金が振り込まれるまでは、時間ががかります。おおよそ1年ほどみておくと安心です。

申請でつまずきやすい、4つの落とし穴

最後に、現場でよくある「もらえなかった」パターンを挙げておきます。

1つ目は、計画書を出す前に正社員化を進めてしまうことです。順番を間違えると、それだけで対象外になってしまいます。

2つ目は、就業規則に転換のルールが書かれていないことです。口約束や慣例ではなく、規程として整っていることが必要です。

3つ目は、賃金3%アップの計算ミスです。どの手当を含めるか・含めないかなど、細かいルールがあります。

4つ目は、申請期限切れです。「6か月の賃金支払い後2か月以内」というタイミングは意外と短く、うっかり過ぎてしまうことがあるため注意です。

どれも、知っていれば防げるものばかりです。逆に言えば、最初の設計さえ正しくできれば、決して難しい制度ではありません。

まとめ:使えるお金を取りこぼさないために

キャリアアップ助成金は、人手不足と賃上げという、いま多くの中小企業が抱える課題に、国がお金で後押しをしてくれる制度です。正社員化コースなら1人あたり最大80万円が支給されます。複数人を対象にすれば、金額はさらに大きくなります。

ただ、ここまで見てきたように、計画書の提出のタイミングや就業規則の整備、賃金要件の計算など、押さえるべきポイントがいくつもあります。せっかくの制度を、ちょっとしたつまずきで取りこぼしてしまうのは、本当にもったいないことだと思います。

「うちの会社は対象になる?」「あのパートさんを正社員にしたら、いくらもらえる?」ーーそんな疑問が少しでも沸いたら、ぜひ一度ご相談ください。

当事務所では、キャリアアップ助成金の相談を受け付けています。初回は無料です。対象になるかどうかの確認から、計画書の作成、就業規則の整備、申請手続きの代行まで、御社に合わせてサポートします。メールまたはお電話からお気軽にお声がけください。

※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。助成金の支給額・要件・コース構成は年度ごとに見直されます。申請の際は、必ず厚生労働省・管轄労働局の最新情報をご確認ください。

スタッフブログ

BLOG

PAGE TOP